最初の関門シリーズAを突破せよ

シリーズAのカギは?投資家が語る“見ているポイント” シリーズA資金調達イメージ

シリーズAのカギは?投資家が語る“見ているポイント”

スタートアップの成長において、シリーズAは「実証から拡大」へと舵を切る重要な資金調達ステージです。特に再生医療や医療スタートアップにとっては、臨床、薬事、スケーラビリティといった要素が一段とシビアに評価されます。本記事では、バイオベンチャー投資を中心に活動する投資家の視点から、シリーズAにおいて実際に「何が見られているのか」、そのポイントを5つに分けて詳述します。

1. プロダクトの実証とPMF(プロダクト・マーケット・フィット)

投資家が最初に確認するのは、技術の独自性ではなく「市場にフィットしているか」という点です。どんなに優れた技術であっても、顧客に受け入れられていなければ資金投入は難しいとされます。たとえば以下のようなデータが有効です:

  • 医療機関でのPoC導入件数
  • 継続率・リピート率の実績
  • PMDA申請実績や準備状況
  • 医師や専門家の推薦・論文等のエビデンス

2. 組織体制とスケールアップ可能性

「このチームなら拡張できるか」が問われます。シリーズAでは特に次の観点が重要です:

  • CEO・CTO・COOのスキルバランス
  • 薬事・事業開発・知財など多様な専門性の内製化
  • 中長期で50〜100名体制を築ける組織設計

3. 資金用途の妥当性とバリュエーション

シリーズAで重要視されるのは「その資金で何が進むか」。医療系ベンチャーの場合は:

  • PMDA申請費用・治験準備費用などが明確に示されているか
  • 次のマイルストーン(フェーズ1完了など)と予算の整合性
  • 売上見込みやパートナーシップ計画が現実的か

バリュエーションに無理がある場合、投資家との信頼関係も揺らぎます。“理論ではなく実行可能性”が鍵となります。

4. 規制戦略とリスクマネジメントの体制

薬事戦略(PMDA対応)がシリーズAの最大のリスクポイントとされることもあります。以下のような体制が歓迎されます:

  • 専門家(例:CJパートナーズなど)との連携実績
  • IND準拠プロトコルの整備
  • 第三者アドバイザリーの組織化

リスクを過小評価せず、「どう備えているか」の可視化が重要です。

5. グローバル視点と将来性

日本国内だけでなく、「FDAや欧州当局と対話可能な素地があるか」も投資判断に影響を与えます。たとえば:

  • Q-subミーティング経験
  • 英語資料の整備、海外アライアンス戦略
  • グローバルIPポートフォリオ

まとめ:シリーズAは「人と構想力」が問われるフェーズ

再生医療・医療スタートアップにとって、シリーズAは最大の登竜門です。技術力や将来性に加え、チームの拡張性、薬事リスクへの備え、そして現実的な資金計画が揃って初めて、投資家は“Go”の判断を下します。

GFファンドでは、技術だけでなく「実行力」を重視した投資を行っています。シリーズAに挑むすべてのスタートアップにとって、本記事が少しでも参考になれば幸いです。